光デバイス/太陽電池

5.日射量の季節変動

 太陽から地球にやってきているエネルギーについてこれまで調べてきましたが、地表がどのくらい太陽光に照らされているかが、太陽光で発電できるエネルギー量に直接関わっています。これが日射量と呼ばれる量です。

 日射量の正確な定義、測定の方法などは後で説明することにして、まずは地表が太陽光によって照らされる量というふうに大雑把に捉えましょう。地球表面のある地点でみると、昼と夜があり、季節があり、時々刻々変わる天候(気象条件)があります。これらによって日射量も常に変動しています。

 昼夜がある、これは地球の自転のためです。季節がある、これは地球が太陽の周りを廻る公転のためと考えがちですが、公転しているだけでは季節の変動は現れません。これは地球の自転の回転軸である地軸が図5-1に示すように公転面に対して傾いていることが理由です。傾斜角は図5-2に示すように23.4°です。

 中学校の教科書にも書いてあることですが、一応説明しておきます。図5-1に示すように地球は太陽の周りを1年に1回廻っています。この軌道は正確には円ではなく楕円ですが、地球が太陽からもっとも遠いところにいるときでも、最も近いところにいるときのわずか1.03倍遠いだけですから、ほとんど円形の軌道と言ってもよいでしょう。この軌道を一周する間、地軸は一定の傾きを保っています。

 なお、図5-1は寸法関係がめちゃくちゃです。まず太陽の半径は696000km(約70万km)です。これに対し、地球の半径は6278kmですから、太陽の約1/100です。図での地球は100倍も大きく示されていることになります。

 また地球の公転半径は約1.5×108kmで、これは太陽の半径の約200倍です。図では5倍程度に示していますから、実際にはその40倍くらい大きな円になります。つまり実際には公転軌道は画面を大きくはみだすくらい大きく、そこに見えないくらいの大きさの地球が廻っているという感じになります。

 話を戻すと、地球上では太陽から来る光は図5-2のようにほぼ平行な光です。これに対して地軸が傾いているので、例えば北半球のNという地点と南半球のSという地点が地軸の周りを1回回転するのを比べると、明らかにNのほうが昼の時間が短く、1日の日照時間が短いのがわかります。

 この図は図5-1でみると、冬至の位置に当たり、つまり北半球の冬に当たります。夏至の位置になると事情はまったく逆で、北半球のN点の方が日照時間は長くなります。日照時間つまり昼が長いのが夏で短いのが冬ですから、これが地球に四季がある理由になります。

 これに加えて地上から見た太陽の高度も冬はその最大角度が小さくなります。これは図5-2を見てわかりますが、N点がもっとも太陽に近いところに来たとき、N点の地表は太陽光に対してかなり傾斜しています。これに対してS点が一番太陽にに近いところに来ると、地表は太陽光に対して垂直に近くなります。

 図5-3は地表の一定の面積に入射する太陽光線を示しています。入射する太陽光のエネルギーは一定ですから、地表がその太陽光が来る方向に対して傾いていると、入射できるエネルギーは減ってしまうことがわかります。これも四季の変化をより大きくする要因です。