電子デバイス/半導体集積回路
2.半導体集積回路のいろいろ
一口に半導体集積回路と言ってもいろいろな種類があります。そこでこの項では少し整理をしておきたいと思います。
(1)構成基本素子の種類からみる
(1a)絶縁ゲート電界効果トランジスタ(IGFET)を用いた集積回路
現在もっとも多く使われている半導体集積回路です。素子の構造が簡単なため、大規模な集積に適しており、マイクロプロセッサや大容量メモリなどのデジタル回路に多く使われています。
(1b)バイポーラトランジスタを用いた集積回路
歴史的にはもっとも早く登場した半導体集積回路で、汎用のデジタル論理回路として長く使われています。とくにバイポーラ型は高速スイッチングが可能なため、高速動作が必要な集積回路に使われます。またアナログ集積回路の多くはバイポーラトランジスタを使っています。
(1c)その他の基本素子を含む集積回路
トランジスタ以外、例えば発光素子とその駆動回路を集積したものなどがあります。発光素子は通常、シリコン以外の材料で形成されるため、駆動回路をシリコントランジスタで作るとすると異種材料を集積する必要が出てきて難しく、まだ広く実用化するには至っていません。このような集積回路を光電子集積回路(OEIC)と呼ぶことがあります。
(2)回路の種類からみる
(2a)デジタル回路
トランジスタのスイッチング動作を利用した回路ですが、論理演算を行うANDとORとNOTの各回路は複数素子を必要とし、複雑な処理、大量のデータを扱うために集積化が極めて有効です。
(2b)アナログ回路
トランジスタを用いた増幅回路を一体化したものなどが代表的な例です。
(2c)その他
アナログ-デジタル変換またはデジタル-アナログ変換などの回路を一体化したものなどの例があります。
(3)用途・使用方法からみる
(3a)汎用
デジタル回路でよく使う回路、たとえばAND回路、OR回路など基本的な回路をそれぞれ集積回路素子として用意しておき、電子機器の回路を構成するためにこれらを基板上で組み合わせて使うという考え方です。一つ一つのトランジスタを扱うことなく複雑な回路を構成できます。
(3b)カスタム
ひとまとまりの回路すべてを集積回路化してしまう考え方です。回路構成が固まっていて大量に使う場合には便利で、機器の回路を容易に作製でき、かつ機器の小型化のためにも有用です。
(3c)プログラマブルまたはセミカスタム
複数の基本回路を集積化しておき、全体回路の要請にしたがって事後的に基本回路間の接続などを追加加工することが可能な方式です。汎用とカスタムの良いところを兼ね備えた考え方です。