産業/色彩の話

12.改良した色度図(その1)-\(\mathrm{uv}\) 色度図-

 前項まで紹介してきた \(\mathrm{xy}\) 色度図はCIEが1931年という1世紀近くも前に制定したもので、CIE1931などと表記されます。

 前項の着色した色度図を見ると、上の方の緑色部分は他の色の部分に比べて同じような色に見える部分が広いように感じられるかと思います。\(\mathrm{xy}\) 座標が違えば違う色を示すはずですが、どうもそうなっていないように感じられます。もう少し正確な言い方をすると、色度図上で同じ距離にある2点間の色の違いが位置によって違うと感じられます。

 これについてアメリカ、コダック社のマクアダム(D. L. MacAdam、「どうして色は見えるのか」では「マッカダム」と表記されています)という人が実験を行っています。人に2つの色票を並べて見てもらい、色の違いが感じられるかどうか判定してもらう実験です。

 その結果、図12-1のような結果が得られました(前項同様、"ColorAC"の機能を使って描きました)。図のなかの小さな楕円内の色は見分けが付かなかったことを示します。ただしこの図は見やすくするために楕円の大きさを本当のものの10倍に拡大してあります。つまり人間は色度図上のかなり接近した色でも違いを識別できることがわかります。ただしこれは2色を並べて見た場合の話で、別々に見た場合はこうはいきません。

 話を元に戻すと、図12-1ではやはり緑色の領域での楕円が赤色や青色の領域より大きくなっています。\(\mathrm{xy}\) 色度図では同じ2点間でも緑色部分では見分けられる距離が長いという結果です。人間の感覚での色の違いと \(\mathrm{xy}\) 色度図上の座標間の距離とはあまりよく対応していないことがわかります。

 この欠点を改善するため、CIEは1960年と1976年の2度にわたって色度図の改良版を制定しています。1960年版を \(\mathrm{uv}\) 色度図、1976年版を \(\mathrm{u'v'}\) 色度図と呼んでいますが、ここでは1960年版は省略し、1976年版を\(\mathrm{u'v'}\) 色度図として図示します(図12-2)。\(\mathrm{xy}\) 座標と区別するため座標を \(\mathrm{u'v'}\) 座標としてあります。だいぶ上部が縮められ、色の変化が均等になったように見えるかと思います。

 なお図中の三角形の頂点は前項で示した \(\mathrm{sRGB}\) の基礎刺激に対応します。また中央の点は白色を示します。

 \(\mathrm{xy}\) 系からの変換式を参考までに記しておきます。 \[{u}'=\frac{4x}{-2x+12y+3}\] \[{v}'=\frac{9y}{-2x+12y+3}\] なお、1960年版の方は \(v\) の式の分子が \(6y\) に変わるだけです。

 最近の特許や文献をみると、依然として1931年版の \(\mathrm{xy}\) 色度図が使われていることが多いように思われ、\(\mathrm{uv}\) 色度図は今ひとつ普及していないようです。