産業/色彩の話
7. 混色

 前々項に話を戻します。色刺激 \(\mathrm{F}\) の等色式をもう一度書くと \[\mathrm{F}=R\mathrm{R}+G\mathrm{G}+B\mathrm{B}\] となります。3原色 \(\mathrm{R}、\mathrm{G}、\mathrm{B} \)の三刺激値 \(R\)、\(G\)、\(B\) によって \(\mathrm{F}\) という色が表せます。

 それでは \(\mathrm{F}_1\) と \(\mathrm{F}_2\) という2つの色を混ぜた色 \(\mathrm{F}\) はどう表されるでしょうか。 \(\mathrm{F}_1\) と \(\mathrm{F}_2\) に関する等色式をそれぞれ \[\mathrm{F}_{1}=R_{1}\mathrm{R}+G_{1}\mathrm{G}+B_{1}\mathrm{B}\] \[\mathrm{F}_{2}=R_{2}\mathrm{R}+G_{2}\mathrm{G}+B_{2}\mathrm{B}\] とすると、\(\mathrm{F}\) は \[\begin{align}\mathrm{F} &= \mathrm{F}_{1}+\mathrm{F}_{2} \\ &=\left ( R_{1}+R_{2} \right )\mathrm{R}+\left ( G_{1}+G_{2} \right )\mathrm{G}+\left ( B_{1}+B_{2} \right )\mathrm{B}\end{align}\] と表されます。これをグラスマンの法則と呼んでいます。これを提唱したのはドイツの数学者 H.G.Grassmannです。

 このことは前々項でも触れたように色が図7-1のような三刺激値で表される3次元空間のベクトルで表示できることを示していて、2つの色 \(\mathrm{F}_1\) と \(\mathrm{F}_2\) が図のようなベクトルで表わせるとすると、この2つの色を混ぜた色のベクトル\(\mathrm{F}\) は図のようにベクトル的な和として表されます。つまり \(\mathrm{F}_1\) と \(\mathrm{F}_2\) を2辺とする平行四辺形の対角線に当たるのが \(\mathrm{F}\)です。

 三刺激値を \(r\)、\(g\)、\(b\) で表す場合は \[r+g+b=1\] の関係がありますから、ベクトルの終点は図7-2に示す単位面上に来ることになります。