光デバイス/発光ダイオード
2.発光ダイオードとは
発光ダイオード(LED)とはどんなデバイスのことか、実は他との境界がかなりあいまいです。まず基本的には電流を流すことによって光を発する半導体デバイスということが言えます。
同じように電流を流すことによって発光する主要な半導体デバイスにはこの他に半導体レーザやエレクトロルミネッセンス(EL)デバイスがあります。
このうち発光ダイオードと半導体レーザは半導体の接合(異なる種類の半導体をくっつけたもの)をもっているという点で共通します。それでは発光ダイオードと半導体レーザは何が違うかというと発光する光の種類が異なります。半導体レーザが出す光はレーザ光です。レーザ光はほとんど広がらずに直進し、光の波がそろっているため干渉という現象が起こりやすい特殊な光です。
発光ダイオードが出す光は広がりやすい自然界にある光と同じような光です。このような光を自然放出光といってレーザ光(誘導放出光とも言います)とは区別しています。両者の違いを説明するのは実は簡単でなく、追って説明することにします。
一方、ELデバイスは本来接合をもたない半導体に電流を流して発光させるデバイスです。これは無機半導体でできていますが、現在ほとんど使われることがなくなってしまいました。これに対して最近実用化されよく話題になっているのは有機ELです。これは性質の違う2種類の分子をくっつけてほぼ無機半導体の接合と同様なはたらきを持たせています。一般にはこれもELの仲間としてLEDとは区別されていますが、このような分子は有機半導体とも呼ばれるので、構造的にはLEDの一種と考えてもよいと思われます。有機LEDという意味でOLEDと呼ばれることもあります。しかしどちらに属するか微妙なところです。
さらには発光トランジスタとか発光サイリスタという接合を2つまたは3つもつ3端子の発光デバイスもあります。発光サイリスタは3番目の端子を使って発光をオンオフができるデバイスです。これらはLEDの一種とみなされています。
以上のようにLEDに分類されるデバイスには種々ありますが、一言でまとめると 「少なくとも一つの半導体接合をもち、これに電流を流すことによって自然放出光を出すデバイス」 が発光ダイオード(LED)であると言ってよいと思われます。自然放出光という専門用語を使うのを避けるのであれば、 「少なくとも一つの半導体接合をもち、これに電流を流すことによって光を発するデバイス(ただし半導体レーザを除く)」 とでもすればよいでしょう。