光デバイス/半導体レーザ

58.まとめ

 半導体レーザは半導体への電流注入による発光現象に光学技術である光共振、光導波の技術を組み合わせてできあがっています。半導体の発光は発光ダイオードより大きな電流密度の条件を必要とするため、長時間、動作を続けられるように狭い範囲に電流を閉じ込める必要があり、素子を構成する各層の電気的性質の組み合わせに工夫が必要です。また光も狭い範囲に閉じ込める必要がありますから、各層のバンドギャップエネルギーと屈折率の組み合わせにも工夫が必要です。

 このように半導体レーザに使用される半導体はその電気的、光学的性質がよくわかっている必要があります。現在、半導体レーザの波長は赤外域から紫外域まで広い範囲をカバーするようになっていますが、使われている半導体はⅢ-Ⅴ族化合物半導体に限られています。最初に都合のよい性質をもったGaAs/AlGaAs系、つぎに光通信への応用のためのInGaAsP系、さらに可視光用のInGaAlP系、最後に短波長可視、紫外用のGaN系が実用化されました。

 応用面も光源を必要とするあらゆる方向に用いられ、新たな分野にも広がりを見せています。

 半導体レーザの今後の展開はと考えると、これは予測するのが難しいように思います。現在、必要とされつつなかなか実現できないという課題があまり見えていないのではないでしょうか。

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