産業/信頼性

21.パッケージに関係する劣化と故障

 半導体デバイスの劣化や故障の原因は半導体チップそのものによるものだけではありません。本来、チップを保護するためのパッケージに原因するものもあります。このような原因は大きく分けると、パッケージにチップを実装する工程(プロセス)に原因するものとパッケージの材料などパッケージそのものに原因するものとがあります。

1.実装工程に関する劣化と故障

 パッケージにチップを実装する工程で劣化、故障の原因が発生する場合があります。

・ダイボンド  チップをパッケージのリードや基板、台座に固定する際にチップに割れが生じる場合があります。また導電性のダイボンド材(はんだ、銀ペーストなど)を用いる場合には余分のダイボンド材がチップ側面にせり上がったり、周囲に流れて短絡を生じる場合があります。

・ワイヤボンド  金線をAl上にワイヤボンドした場合にパープルプレイグと言われる金属間反応の問題が生じることはすでに述べました(18項)。この他、ワイヤをチップ上に熱圧着する際、衝撃によりチップにクラックが生じることがあります。また第1ボンドの後、第2ボンドを行う際、ワイヤに大きな張力が発生し、第1ボンドが外れるなどの不良が発生する場合もあります。

・樹脂封止  ワイヤボンド後、封止樹脂を注入する際、ワイヤが封止樹脂によって変形し、張力により接続の外れや断線を起こしたり、ワイヤ同士あるいはワイヤと他の金属部分が接触して短絡を起こす恐れもあります。

2.樹脂パッケージ本体の劣化と故障

・水分の侵入  図21-1は半導体デバイスの樹脂パッケージの断面図の一例です。これはリードフレームを使った樹脂パッケージの基本的な構造を示しています(発光ダイオードの35、36項)。金属製リードフレームはパッケージ外への電気的接続のためのピンとなる部分と、チップを接着固定する台座部からなります。リードフレームは最初は多数のパッケージ分がつながった一枚の金属板として加工され、樹脂部を一度に成形した後、切り離して個々のパッケージに加工します(発光ダイオードの33、34項)。

 1で述べたように、チップを台座に固定した後、電気的接続(ワイヤボンド)を行い、封止樹脂により封止したり、またはチップ周囲に空間を残して蓋を被せたりします。

 このような構造の樹脂パッケージでは外気からの水分の侵入は完全に防ぐことは困難です。パッケージ内への水分の侵入経路は、図示した通り金属部と樹脂部が接する部分の隙間からと樹脂自体を透過する場合との2つの経路が考えられます。

 このような水分の侵入により大きく分けて3種類の劣化が進む恐れがあります。

・配線金属の腐食  チップ表面の配線にはAlが多く使われていますが、これは水分によって腐食されやすく、断線に至る恐れがあります。さらに水分に塩分が含まれると、塩素イオンのはたらきによってさらに腐食が進みます。このような劣化に対する試験方法として塩水噴霧試験があります(JIS C 60068-2-11)。

・クラックの発生  パッケージ内に水分が蓄積された場合、はんだ付けなどによって加熱されると、水分が気化して体積が膨張します。これにより樹脂パッケージが内側から膨らむ方向に変形し、やがてクラックが生じる場合があります。クラックが発生するとそこからさらに水が浸入することになり、劣化が進行します。また発生したクラックがパッケージ内のワイヤを切断する場合もあり得ます。

・金属部材の劣化  パッケージの内部および外部に露出するフレームやリードなど金属は気中の水分により酸化、硫化などの腐食を生じる場合があります。また周囲との熱膨張差や機械的な曲げや引っ張りにより金属疲労を起こして破損する場合もあります。

 パッケージには上記のようなリードフレームを使わず、配線基板上にチップを固定するものもあります。また樹脂封止を行わず、金属製のキャップを被せて気密を保つものもあります(発光ダイオードの31、32項)。また電気的接続もワイヤを使わず金属バンプを用いてフリップチップ接続するタイプ(発光ダイオードの38項)もあります。これらもそれぞれ劣化の要因を持っており、対処が必要ですが、ここでは省略します。