光デバイス/発光ダイオード

36.リードフレーム(その2)

 表面実装型パッケージは33項の図33-1に示したように、配線基板にLEDチップを接着して作製されるタイプもありますが、リードフレームを使ったタイプもあります。図36-1はこのリードフレームを使用した典型的なパッケージを上からみた図(平面図)です(1)。一対のリードの一方AにLEDチップがダイホンドされています。そしてチップ上面の電極ともう一方のリードBをワイヤで接続しています。

 表面実装型には砲弾型にはない本体部を設けます。この本体部はリードフレームを固定する基板の役割を果たします。チップを接着するリード部分が露出するように貫通孔が開くようにしますが、この孔を擂り鉢状のような斜面にし、光の反射面にする場合があります。

 リードフレームを使った表面実装型パッケージの作り方を図36-3によって説明します。まずパターンを設計し、リードフレームを準備します。図36-2がそのパターンの例です(2)。図は4パッケージ分を示していますが、横に長くつながって多数のパッケージを並べて作れるようにできますし、縦方向にも並べてマトリックス状にすることができます。リードフレームは一枚の金属板に全体がつながったパターンを作り、後に切り離して個別のパッケージを作ります。このようなパターンの設計は種々の工夫ができ、設計の妙が面白いところです。

 前項の場合同様に、一対のリード部分がパッケージに使われる部分ですが、この場合は図に矩形で示したようにリードの平面上にチップが接着されます。またこのチップが接着されるリードと平行するダイバーと両端をつなぐダイバーがあり、リードフレームを一体に固定する役割をしています。

 図35-3(a)では一対のリードA、Bの断面を示しています。これに本体部を設けます。この本体部は樹脂で作られることが多いですが、大体は成形法で作ります。(b)に示すように金型にリードを挟むように一緒に入れ、空洞部分に樹脂を充填して固めれば、樹脂のなかにリードが埋め込ませた状態になります。リードなど金物も一緒に型に入れて成形する方法をインサート成形と呼びます。

 なお、本体部の上部には反射面が同時に成形によって作られます。LEDの発光を反射するため、本体部の樹脂は反射率を高くするため白色にするのが普通です。樹脂を白色にするためには樹脂に白色の顔料(酸化チタンなどが代表的です)を混ぜる手段がとられます。

 (c)のように本体部が固定されたリードフレームができたら、(d)のように決められた場所にLEDチップを接着し、(e)のように電極の配線をします。さらに(f)のように少なくともチップ部分が覆われるように透光性樹脂を被せます。

 最後に(h)のように本体の外に出たリードを基板等に取り付けやすいように曲げて(フォーミングといいます)完成です。

 なお、以上の他にリードフレームを切り離し工程(g)が必要です。これは通常、(h)のフォーミングの前に行い、そこまでは全部が繋がった状態で工程を進めます。

 余談ですが、横方向をつなぐダイバーに等間隔に丸孔が開いています。こういう図はよく見かけますがこれは何でしょうか。打ち抜き加工をする機械が金属板に孔を打ち抜く際、1回で打ち抜ける単位があります。1回終わると金属板を平行移動させて次の打ち抜きを行います。このとき金属板を送るのに、この丸孔と機械の方の突起とが噛み合って送り動作がされるのです。

(1)特開2005-294736号
(2)特開2004-128330号