電子デバイス/電界効果トランジスタ

1.はじめに

 電界効果トランジスタの代表は結晶シリコン系絶縁ゲート電界効果トランジスタ(IGFET)ですが、これと違ってゲート絶縁膜のない電界効果トランジスタ(FET)もあります。ここではそれらを取り上げます。

 FETはIGFETのところでも説明しているように真空管を固体(半導体)素子で置き換えるために素直な考え方から生まれたと言えます。真空管ではカソードから飛び出してアノードへ向かう電子の流れをグリッドと呼ばれる電極を使って途中でコントロールしています。

 一方、FETでは半導体中に電子が流れる経路(チャンネル)を作ってそこを流れる電子をやはり途中でコントロールします。この電子の流れのコントロールのために半導体の表面に電界をかけることが必要で、そこから「電界効果」という名前が付いています。

 なお、FETでは真空管にはない正孔(ホール)の流れを使うこともありますが、流れる電荷は電子か正孔かどちらか一方です。ここが両方が関与するバイポーラトランジスタと違うところで、最近はあまり使われませんが「ユニポーラトランジスタ」と呼ばれたのはこのためです。

 このようなFETのなかで、接合型FET(JFET)と呼ばれる種類はIGFETより早く実用化されました。バイポーラトランジスタに近い技術によって製造できるためと思われます。ここではJFETから始めて、その他のゲート絶縁膜のないFETをいくつか紹介します。

 さらに近年、新たに進展しつつある窒化ガリウムを用いたトランジスタについてはやや詳しく取り上げます。