電子デバイス/薄膜トランジスタ
11.まとめ

 薄膜トランジスタは液晶ディスプレイの駆動用という大きな応用先があったことで発展してきたと言えます。アモルファスシリコンという薄膜でトランジスタが形成できる材料が見つかったことも大きな要因となりました。

 アモルファスシリコンを用いた薄膜トランジスタは結晶シリコンのIGFETのような特性は出ませんが、ガラスなど透明な大面積基板上に形成できるというIGFETにない特徴をもっていました。このような特徴は液晶ディスプレイ用には適用可能でした。

 しかし液晶ディスプレイ側でもいろいろな技術の発展があり、これに応じてTFTの性能向上が求められるようになりました。とくにスイッチング速度の向上が重要です。

 これについては長く、多結晶シリコン(ポリシリコン)によるTFTの開発が行われてきました。最近になってアモルファスシリコンの特性を越える新しい材料が見つかりつつあります。酸化物半導体と有機半導体です。

 このようにTFTはまだまだ新しい材料が見つかる可能性を秘めています。結晶シリコンのIGFETは長い間これに変わるものは現れませんでしたが、ひょっとすると新しい材料のTFTによって置き換えが実現する日が来るかも知れません。ということはディスプレイ用などに限られることなく、すべてのトランジスタがなにか別のものに置き換わるなどということが絶対に起きないとは言えません。