光デバイス/太陽電池

1.はじめに

 近年、人類にとってなくてはならないエネルギーとなった電気エネルギーをどこから得るかが重要な問題となっています。これまでは大半を化石エネルギーからの変換に頼ってきましたが、資源の枯渇、地球温暖化などの問題もあり、他の方法の模索が長く行われてきました。

 原子力が一つの候補でしたが、放射性物質を短時間で無毒化する方法がなく、安全性の点で忌避されるようになっています。

 このなかで自然エネルギー、再生可能エネルギーの利用が注目されるようになってきています。これは自然界にすでに存在し、とくに利用されていなかったエネルギーを電気エネルギーに変換して利用しようというものです。

 そのなかで太陽光から直接、電気エネルギーを得るのが太陽電池であり、これは半導体デバイスの一種ですが、自然エネルギー利用に直接関係している点で他の半導体デバイスとは大きな違いがあります。

 その違いは太陽電池による発電がエネルギー資源として本当に成り立つのかを考える必要があるという点です。太陽光を電気に変えるのにかえって地球上のエネルギーを消費してしまうようでは意味がありません。このような問題を考えるために、前提となることは大体以下のような項目になると思われます。

 なお、この半導体デバイスへの入力光は必ずしも太陽光である必要はなく、その意味では光電池あるいは光電変換素子という呼び方の方が一般的かもしれません。

(1)太陽光エネルギー  まず太陽から光としてやってきているエネルギーはどれくらいなのかを正しく知っておく必要があります。太陽はまだこれから50億年くらいは輝き続けると言われています。太陽が星の寿命を迎えたときどうなるかを今考えても仕方がないので、これは置くとして、これからもずっと地球に供給し続けられるはずのエネルギーがどのくらいの量なのかまず押さえておく必要があるでしょう。

(2)日照時間  太陽は一定のエネルギーを地球に向かって送ってくれますが、地上の一地点で考えると季節や夜昼があり、天候の良し悪しもあるので、地上に光が当たる時間は限られ、しかもかなり変動します。世界中のどこか日の照っているところからエネルギーを送ってもらえるのでない限り、日が照っている時間(日照時間)が平均としてどれくらいあるのかは重要です。

(3)太陽電池の変換効率  一方、太陽電池の側で考えると、まずやってきた光のエネルギーを100%、電気のエネルギーに変えられるわけではありません。100%どころかやってきた光のエネルギーのほんの一部しか電気に変えられないと言った方がよいでしょう。その割合を変換効率と言いますが、それは現状でどのくらいで、将来改善できるのかも大変重要です。

(4)設置面積  (2)と(3)がわかると太陽電池からどのくらいのエネルギーが供給できるかがわかります。そうすればあとは必要なエネルギーによって太陽電池を地上のどのくらいの面積に置いたらよいのかが分かります。しかし地球上の生物は例外はあるにしても大体は生きていくのに太陽光を必要とします。太陽から熱が供給され地球が適温に暖められていることはもちろん必要ですが、例えば植物の光合成のように光そのものが当たっていることも必要です。となると地表のほとんどすべてを太陽電池で覆うようなことはできないことになります。少ない面積で必要エネルギーが供給できるかどうかが重要なポイントです。

(5)原材料資源  必要な太陽電池の設置面積が大きいとそれを埋め尽くすように太陽電池を作るには半導体の原材料が大量に必要になります。また太陽電池の寿命も永久ではないので、ある時間が経てば交換も必要になるでしょう。それを考えたとき、必要な原材料を使ったとき原材料の資源がすぐに枯渇するようでは元も子もないので、この点も考える必要があります。

(6)発電量の変動対策  太陽電池は日光が照っていないときは発電できないという宿命からは逃れられないと思いますから、その間の電力をどう調達するかが問題です。この問題にいい解決策がないと太陽光発電は補助的なものにとどまらざるをえないでしょう。

 以上のうち、(1)、(2)、(5)は地球にいる限りは与えられた条件です。半導体デバイスとしてできることは(3)の改善と(5)の節約でしょうか。(4)と(6)は発電システムとしての問題です。

 以下では、(1)と(2)を確認し、太陽電池として(3)と(5)の問題を考え、発電システムにも手を伸ばして(4)と(6)も少しだけ考えたいと思います。