光デバイス/太陽電池

10.太陽電池のエネルギー変換効率

 太陽電池は太陽の光のエネルギーを電気のエネルギー(電力)に変換する装置ですが、太陽電池の表面に当たった光のエネルギーをすべて電力に変換できるわけではありません。どの程度変換できるかの割合をエネルギー変換効率と言います。これはどの程度の値になるのか調べてみましょう。

 前項で示した太陽電池の特性曲線をもう一度示します(図10-1)。この太陽電池に抵抗値Rの抵抗器を繋いだときに発生する電圧と電流はこの曲線と抵抗を表す直線との交点から求められます。その電圧と電流の積が、変換されて取り出される電力になります。

 Rの値を変えると電圧と電流の値が変わり、取り出される電力の値が変わります。そしてあるR=Rの値を選んだとき、電力の値が最大になります。このときの電圧をV、電流をIとすると、最大の電力PはV×Iになります。

 この値は図からわかるように、開放電圧Vと短絡電流Isの積より小さくなります。P(=V×I)とV×Iの比の値をフィルファクター(fill-factor、FF)と言います。太陽電池から取り出せる最大の電力PはこのFFが1に近いほど大きくなります。また同じFFならば、V×Iが大きい方が電力は多く取り出せることになります。

 太陽電池のエネルギー変換効率はPを入射する太陽光のエネルギーで割った値のことです。なぜ入ってきた太陽光エネルギーがすべて電力に変わらないで減ってしまうのでしょうか。理由はいくつかあります。

 太陽光は紫外光から赤外光までかなり広い範囲の波長を含んでいることはすでに説明しました。太陽光のエネルギーはこのすべての波長の光のエネルギーの総和です。ところがpn接合を使った太陽電池はこのすべての波長の光を利用できません。

 半導体中で電子と正孔を作るにはバンドギャップエネルギー以上のエネルギーが必要です。例えばシリコンのバンドギャップエネルギーは約1.1eVで、これは波長に直すと1,1μmに相当します。ということは1,1μmより長い波長の光では図10-2に示したようにエネルギーが不足して電子と正孔はできないことになります。太陽光には1.1μmより長い波長の成分が多く含まれているので、その分は電力に変換されずに太陽電池を通り抜けてしまいムダになってしまいます。このムダになる分はシリコンの場合、44%にもなります。

 一方、太陽光には1.1μmより短い波長の光も多く含まれています。このような光が当たった場合はその分高いエネルギーをもった電子と正孔ができます。しかしこの余分なエネルギーは電力としては取り出されず、出てくるエネルギーは1.1μmの光を当てたときと同じになります。図10-2に示すように過剰なエネルギー分は失われます。失われたエネルギーはどこへいくかというと熱になってしまい、電力にはなりません。短い波長の場合は光は吸収され、電子と正孔ができますから、長い波長の場合のように光のエネルギーがすべてムダになるわけではありませんが、それでもこの分のムダは約11%になります。

 まだこれ以外にも効率を下げる要因があります。シリコンのバンドギャップエネルギーEgは約1.1eVでこれに相当するエネルギーの光を受け取って電子と正孔ができているわけですから、電子のエネルギーは1.1eVだけ増加しているはずです。1.1eVのエネルギーとは1個の電子がもっているエネルギーを1.1Vの電位だけ引き上げるエネルギーに相当しますから、本来開放電圧は1.1Vになるはずです。ところがシリコンのpn接合では開放電圧は0.7Vくらいにしかなりません。これによって残った分の37%、全体とすれば約17%のエネルギーが失われていることになります。

 これらを差し引くと結局、シリコン太陽電池はもっともよくても28%程度の変換効率しか得られないことになります。実際にはさらにいろいろな理由で変換効率は下がってしまい10数%になっています。

 以上のことはシリコン以外の材料を使った太陽電池でも同じように考えられ、それぞれ大体最大でどのくらいの変換効率が得られるかがわかります。