光デバイス/太陽電池

2.太陽定数

 地球は太陽からエネルギーをもらって人類をはじめとするあらゆる生物が生きていくのに適した温度に温められています。太陽からどのくらいのエネルギーが地球にやってきてこのような環境が作られているのでしょうか。

 太陽から地球のやってきているエネルギーの測定は19世紀の前半に早くも行われています。1837年にフランスのクロード・プイエ(Claude Bouille)という人が測定を試みたのが最初と言われています。しかし地表で計った値は地球を取り巻く大気によってエネルギーが吸収されてしまうので正確ではありません。現在のように人工衛星を使った測定ができるようになるまでは、せいぜい高い山の上で観測するしかなく、正確な値の測定は難しかったのです。20世紀の後半になると人工衛星を使って大気圏の外での測定ができるようになり、正確なデータが得られるようになりました。

 この太陽からやってきているエネルギーの量は長期にわたってほとんど一定であるので、これを太陽定数(Solar constant)と呼んでいます。正確な定義は、平凡社の世界大百科事典によれば、「地球と太陽の平均距離において,太陽光線に垂直な単位断面積当り単位時間に入射する太陽の放射エネルギーの総量」となっています。

 地球が太陽の周りを廻る軌道は完全な円ではないので、地球と太陽の距離は1年を通じていつも一定ではなく、近くなったり遠くなったりしています。そこでこれは平均の距離で考えます。またエネルギーを受ける面が太陽光線に対して角度をもっているとその角度によってエネルギー量は変わってしまうので、これは垂直な面で受けることに決めます。そして単位面積、例えば1m当たり単位時間(1秒間)のエネルギーと決めます。

 人工衛星を使って測定された太陽定数の値は約1366W/mです。この値は完全に一定ではなく、周期的に変化しています。しかし変化は小さく、0.1%程度なので定数とみてもとくに差し支えありません。ただ太陽表面に黒点が現れたりすると、それによってもエネルギーは少し変動します。量的には僅かな変化ですが、地球の気候が影響を受けることが知られています。

 人工衛星を使った測定はNASAが中心になって行っていますが、スイスにあるWorld Radiation Center(WRC)という機関がデータを整理しています。以上説明したような1978年以降の測定データがウェブ上に公開されています。

 このエネルギー量はどういう方法で測定されているのでしょうか。上のホームページにもそこまでは説明がありませんが、ここに書かれているACRIMの最初のACRはActive Cavity Radiometerの略で、Radiometer は日本語では放射計です。放射計という測定器は光を含む電磁波の放射エネルギーを測定する計器で、太陽の放射エネルギーもこの測定器によって測定されていると思われます。

 放射計といってもいろいろあるようですが、基本的な原理は光が金属板などに当たりそのエネルギーによって上昇した温度を検出するというものです。ボロメータというのは金属板の温度変化を電気抵抗の変化で検出するものです。パイロメータというのは温度変化を熱電対で電圧に変えて計るものです。

 いずれにしても太陽からやってきているエネルギーはほぼ一定で正確な値が測定されています。ただしこれは大気圏外での話で、地表に太陽電池を置いたとき、それに入射するエネルギーとは違います。地表ではどのくらいエネルギーが減っているのかを検討しなければなりません。